欧米企業では一般的な「ジョブディスクリプション」ですが、グローバル化や海外進出、ジョブ型雇用への転換などが急速に広まりつつある中で、近年、日本でも導入を検討している企業が増え始めています。
しかしながら、ジョブディスクリプションは導入後の管理には、労力と時間がかかり、とても大変です。
ジョブディスクリプションが一般的なアメリカ企業でさえも、その管理に苦労している企業が多い状況です。
(※詳細は下部記事に纏めています。)
そこで、本記事では、今後、ジョブディスクリプションの導入を検討している方・もっと効果的にジョブディスクリプションを活用したい方向けに、海外で注目されている「ジョブディスクリプション管理サービス」を紹介していきます。
Contents
ジョブディスクリプション管理サービスとは?
今回、紹介する「ジョブディスクリプション管理サービス」とは、ジョブディスクリプションの管理を効率的に、かつ、効果的に行うことを可能にするソフトウェアツールを指します。
どのソフトウェアも基本的に備えている機能は共通していますが、色々な機能と掛け合わせることで、ソフトウェア毎に特徴があります。
共通する主な機能
① システムの中にあるジョブの索引から、作成したいジョブディスクリプションの記載内容を簡単に検索可能
② 検索したジョブディスクリプションをもとに、プルダウンからの選択やクリック、タイピングでの編集により、作成やメンテナンスが簡単に可能
③ 作成後、ジョブディスクリプションの回覧・承認・フィードバック等がシステム上で簡単に出来て、最新の管理状況がいつでも分かる
④ ジョブディスクリプションの作成・管理・メンテナンスをシステム上で行うため、アクセス権があれば、いつでもどこでもアクセス可能
ジョブディスクリプション管理サービス5選
各社の提供するサービスの特徴について、【機能数・索引・操作性・ビジュアル・(他のHRシステムとの)連動性】という5項目に分けて、実際の操作やデモをベースに評価しながら、紹介しています。
Job Description Manager 【SHRM】
主な機能・特徴
機能数 | ★ | ジョブディスクリプション管理に特化したシンプルさが特徴。 ジョブディスクリプションの作成・編集・保存・回覧をオンライン上で一括管理。 |
---|---|---|
索引 | ★★★ | SHRM社が管理する2400以上のジョブディスクリプションを利用可。 索引内のジョブディスクリプションも自由にカスタマイズ可能。 |
操作性 | ★★ | 機能がシンプルな分、操作もシンプルで分かりやすい。 24時間365日どこからでもWeb上からアクセスできるのも◎。 |
ビジュアル | ★★ | ジョブディスクリプションのステータスがビジュアル的に分かる。 |
連動性 | ★ | ダウンロードやプリントアウト、e-mailでの送付などの機能は標準装備しているものの、他のシステムとの連動はほとんどない。 |
ジョブディスクリプションの作成・メンテナンス・管理だけをシンプルにしたいという企業にオススメ。分かりやすさと使い勝手は良い反面、搭載機能が少なく、他のHRシステムと連動させにくい点は要注意。
JDMS【Hrizons】
主な機能・特徴
機能性 | ★★ | ジョブディスクリプション毎の比較や過去の編集履歴を閲覧できるバージョン管理等を搭載。蓄積されたデータから統計も自動作成。 |
---|---|---|
索引 | ★★★ | カスタマイズ可能な「JDMS」の索引に加えて、既に自社で持っているジョブディスクリプションを索引に統合出来る。複数条件でのフィルターや検索も可能。 |
操作性 | ★★★ | プルダウン選択やドラッグ&ドロップで感覚的な操作が可能。 テキストでの作成・編集も可能。 |
ビジュアル | ★★★ | 変更箇所や相違点等が色付けされて表示されるため、ジョブディスクリプションを比較する際に分かりやすい。統計データの可視化も可。 |
連動性 | ★★ | 各機能とHRシステム(Taleo, Workday等)を同期可能。 上述の通り、既存のジョブディスクリプションの統合も可能。 |
デザイン性に優れており、感覚的に操作出来る点が◎。他のシステムとの連動性も高いため、導入へのハードルが低い。ジョブディスクリプション管理に特化しているが、使いやすい機能が搭載されている。
「Job Description Solution in HR」での受賞歴有り。
JDXpert【HRTMS】
主な機能・特徴
機能 | ★★★ | 標準的な機能に加え、多言語対応、報酬設定、ジョブの評価・比較、分析機能など、多様な機能が搭載されている。 |
---|---|---|
索引 | ★★★ | 1,100のジョブに加えて、Word等で管理していた既存のジョブディスクリプションの統合も可能。 |
操作性 | ★★ | 文字でのタイピングが基本操作のため、感覚的な操作は難しい。機能・操作方法の理解に比較的時間がかかる |
ビジュアル | ★ | 多機能な分、タブや項目が多く複雑に見える。 ※項目や機能はニーズに合わせて変更可能 |
連動性 | ★★ | Excelでのダウンロード/インポートを通じて、Workdayとの連動は可能。 |
とにかく機能が多いのが特徴。多機能な分、ユーザーのトレーニングに時間がかかるため、導入へのハードルは比較的高めだが、ニーズに合わせて機能のカスタマイズは可能。多言語への変換機能の搭載はグローバル企業には魅力的。
Competency Core【HRSG】
主な機能・特徴
機能 | ★★★★ | ジョブディスクリプション管理に加え、コンピテンシーマネジメントの機能が豊富。キャリアパスの表示や上位職とのスキル比較、採用面接時の質問リスト等の自動作成も可能。 |
---|---|---|
索引 | ★★ | ジョブディスクリプションの索引数は500+とそれほど多くないが、AI機能により条件にマッチしたジョブディスクリプション・コンピテンシーの設定が可能。 |
操作性 | ★★★ | プルダウン選択やドラッグ&ドロップで感覚的な操作が可能。 テキストでの編集・作成も可能。 |
ビジュアル | ★★★ | シンプルな画面設計になっており、操作方法が視覚的にも非常にわかりやすい。 |
連動性 | ★ | ダウンロードやプリントアウト、e-mailでの送付などの機能は標準装備しているものの、他のシステムとの連動はほとんどない。 |
コンピテンシーマネジメントと連動した管理サービスが特徴。ジョブディスクリプション管理の面での機能はそれほど多くないが、コンピテンシーをベースにした豊富な機能は魅力的。コンピテンシー機能を付与しないバージョンでの契約も可。
Saba
主な機能・特徴
機能数 | ★★★★ | ジョブディスクリプション管理をベースに、社内の人材レビュー、人材の検索、教育、パフォーマンスマネージメント、社内コミュニケーション、人材分析等の機能をオールインワンで搭載。 |
---|---|---|
索引 | ★★ | Saba社のテンプレートをベースにカスタマイズ。 |
操作性 | ★★★ | ジョブディスクリプション作成の操作性については、テキストベースのシンプルな操作設計。その他の機能については要確認。 |
ビジュアル | ★★★ | ジョブディスクリプション管理については、シンプルな設計だが、データの分析やその他の機能に連動し、データををビジュアル化して活用できる。 |
連動性 | ★ | 基本的には、本システムにっ全てのHRシステムが網羅される仕様。 |
ジョブディスクリプションを基盤に、すべてのHRシステムを一新したいという方にオススメ。1つのシステムに情報が集約されるため、各データが連動しあうことによるメリットは大きいが、ジョブディスクリプション管理のみの導入するといった機能を分割しての導入は出来ないため、ハードルは極めて高い。
サービス+料金比較
各サービスの評価結果と料金の料金は下記の通り。
※料金(目安)の計算基準:従業員=600名、ジョブの数=300ジョブでの試算
Job Description Manager 【SHRM】 |
JDMS 【Hrizons】 |
JDXpert 【HRTMS】 |
Competency Core 【HRSG】 |
Saba | |
料金 (目安) |
$360/User | $20,000/年 | $18,000/年 | $16,160/年 | $25,000/年 |
機能数 | ★ | ★★ | ★★★ | ★(★★) | ★(★★★) |
索引 | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★ | ★★ |
操作性 | ★★ | ★★ | ★★ | ★★★ | ★★(★) |
ビジュアル | ★★ | ★★★ | ★ | ★★★ | ★(★★) |
連動性 | ★ | ★★ | ★★ | ★ | ★ |
料金は、組織のサイズ、ジョブの数、ユーザー数等によって決まります。
機能・料金の詳細については、各社のHPよりご確認ください。
まとめ
今回は海外のジョブディスクリプション管理サービスを紹介しましたが、ジョブディスクリプションを管理していくにあたって、効率・効果を高めるために、こうしたソフトウェアの導入が注目されています。
日本ではまだまだ一般的ではないジョブディスクリプションですが、今後、日本でジョブディスクリプションの普及が進むにつれ、こうしたソフトウェアの開発も進んでくることが予想されます。
既にジョブディスクリプションの導入されている方、今後の導入を検討されている方はもちろん、現時点では予定のない方も、海外の最新の市場を知ることで、日本の動向をつかむことが出来るはずです。
是非、今後の参考にしてみてください。