Job型雇用

【米国企業の実態】ジョブディスクリプション導入を成功させるには?

「ジョブディスクリプション」とは、担当する職位や業務内容、難易度、必要なスキル・経験などが書かれた書類で、欧米企業を中心に、リクルートや人事考課などの様々な場面で活用されています。

日本でも、グローバル化やジョブ型雇用への転換、海外進出などのために、ジョブディスクリプションを導入する企業が増え始めました。

ジョブディスクリプションをうまく活用すると得られるメリットは大きいと言われていますが、実はジョブディスクリプションが一般的なアメリカでも、多くの企業がジョブディスクリプションの管理に頭を悩ませていることはご存知でしょうか?

本記事は、アメリカ企業におけるジョブディスクリプション管理の実態とトレンドをまとめて紹介します。

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ジョブディスクリプションはアメリカ企業の常識

アメリカ企業では、会社の中で発生する仕事のすべてに対して、ジョブディスクリプションを持っているのが一般的です。時には、ジョブディスクリプションに不備があるために、コンプライアンス違反による罰則を受けることがあるほどです。

「ジョブディスクリプション」が作成される目的としては、会社の業績を上げるために必要な仕事を明確にするということが大きな理由です。会社の業績の向上に必要のない仕事は出来るだけ排除することで、効率よく必要な仕事に従業員をフォーカスさせていくことが出来ます。

また、仕事内容と必要なスキル・経験が明確になっていることで、リクルート活動での成功率が高くなります。求職者は仕事の内容を把握し、自分が活躍できそうな仕事に応募してきますし、会社はジョブディスクリプションの記載と求職者の情報を比べることで、適切な人材の見極めをより効果的に行うことが出来ます。

さらには、人事と従業員の双方が各個人の業務内容を明確に把握しているというのも大きなポイントです。

ジョブディスクリプションを通じて、人事は従業員のパフォーマンスや生産性を客観的に評価できます。そのため、優秀な人材やローパフォーマーを把握して、リテンションやパフォーマンスの改善を戦略的に行うことが出来たり、マーケットと比較して仕事の内容のレベルを評価することで、より客観的に公平な報酬を設定することも可能です。

これは従業員としても、自身の給与や評価の基準が分かりやすいので、納得感がありますよね。

また、上位職のジョブディスクリプションを見れば、自身のスキル・経験と昇進のために必要な要件のギャップがはっきりわかるため、必要なトレーニングを受けたり、自身のキャリアパスを明確にイメージすることが可能になり、従業員のモチベーションやエンゲージメントが高まる効果もあります。

 

アメリカ企業のジョブディスクリプション管理の実態

上述の通り、大きなメリットを発揮するジョブディスクリプションですが、その効果を得るためには「適切に作成し管理する」ことが必要不可欠です。

実際にジョブディスクリプションのメリットが効果的に発揮するためには、下記のポイントが重要だと言われています。

・必要なジョブの内容が正確に明記されていること

・最新の状態にアップデートされていること (最低でも年1回以上)

・従業員やマネージャー、人事担当者が内容をいつでも確認できること

しかしながら、そのメリットや重要性を理解しながらも、上記のポイントをしっかり実践できている企業は、ジョブディスクリプションが一般的なアメリカでさえも多くないと言われています。

Kathryn Tyler氏もSHRMブログ「Job Worth Doing: Update Descriptions」の中で、その管理の重要性と難しさについて述べていますが、ジョブディスクリプションの作成と管理には多くの時間と労力がかかるのが主な原因と言われています。

私がアメリカ企業の人事担当者に聞いた中で多かった意見は・・・

マネジャ
マネジャ
1つ1つのジョブディスクリプションの作成に時間がかかって大変
従業員
従業員
採用の時と仕事の内容が変わっているけど、新しい仕事のジョブディスクリプション見たことがない
人事
人事
作成するマネージャー毎に書き方が違うし、昇進やジョブの変更が多すぎて、管理やアップデートが追いつかない

といった感じです。

実際に、アメリカ企業のジョブディスクリプション管理サービスの提供会社の1つであるHRTMS社の調査でも下記のようなデータが出ています。(※一部を要約)

【調査を受けたアメリカ企業の回答の割合】

①自社のジョブディスクリプション全般について満足している:3%だけ

②ジョブディスクリプションの編集やメンテナンスに苦労している:64%

③実際の業務とジョブディスクリプションの内容が異なる懸念がある:46%

④時間や人員的なリソースに限界のために、ジョブディスクリプションの管理を重要な課題として取り組めない:76%

⑤ジョブディスクリプションはWordで管理している:82%

上記のように、アメリカ企業の人事担当者の多くは効果的なジョブディスクリプションの活用に頭を悩ませているというのが実態です。

確かに、日々、多くのプロジェクトを抱えている人事担当者が全従業員のジョブディスクリプションの中身を確認・更新していくことには限界がありますよね。特に従業員の数が多ければ多いほど、管理は大変になっていきます。

実際に、私自身も紙媒体でのジョブディスクリプションを何冊もファイリングしていたり、Wordのファイルを保管している企業を見てきましたが、ずさんな管理に驚いたこともよくありました。

最近のトレンド|HR-Techを導入して有効活用!

近年のHR-Techの発展に伴い、上記のような人事担当者の悩みを解決するために、ジョブディスクリプション管理にも、ソフトウェアの導入を進めている企業が増えています

従来のWordや紙媒体の管理スタイルから、ソフトウェアを管理に切り替えることで、管理の煩雑さから解放される上に、作成時間が大幅に短縮でき、ジョブディスクリプションの内容も充実・統一されることにより、記載内容のクオリティも上がるという効果は、ジョブディスクリプション管理に苦戦している人事担当者からは非常に魅力的です。

また、近年では多数の企業によってシステム開発を進めており、いつでもだれでもWeb上で最新のジョブディスクリプションを閲覧できたり、様々な言語に対応していたり、他の人事システムと連動することが出来たり…と様々な機能が搭載されているサービスが製品化されており、自社のニーズに合った機能を選ぶことが出来るようになってきたのも導入が進んでいる背景です。

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まとめ

日本企業でも導入している企業が出始めましたが、グローバル化が進むにつれて、将来的に導入を検討する企業がますます増えてくることが予想されます。
その際には、一度、ジョブディスクリプションの作成を開始すると、将来に亘って作成・管理を続けなければ、有効に活用できないということを意識することが重要です。

本記事では、アメリカ企業のジョブディスクリプション管理の実態と最近のトレンドをまとめて紹介しましたが、効率のよい管理を目指すことで、大きなメリットを感じられるはずです。

今後、導入を検討されている方はぜひこの記事を参考にしてみてください。

アメリカ商社HR
Sean (ショーン)
大学を卒業後、日本の大手商社に就職。 入社以後、人事部でキャリアを重ね、アメリカに渡る。 現地企業でHRとして勤務しながら、グローバル企業の人事制度を研究。 最新のHRに関するトレンドやノウハウ、海外でのキャリアUP、ワークライフ…etc.について、分かりやすく解説・紹介しています。